2025年5月11日
こんにちは。TOKYO腰痛肩こりケアセンターの仮屋です。
今回は、「最低限の柔軟性」がいかに日常生活において重要であり、またそれが失われることで腰痛や肩こりなどの慢性的な関節の痛みにつながってしまうかを解説します。
柔軟性というと、多くの人がヨガをしている人のように、体がぐにゃぐにゃに柔らかくなることを想像しがちです。しかし、私たちが注目しているのは“最低限の柔軟性”です。つまり、日常動作を痛みなくスムーズに行うために必要な関節の動きのことを指します。
この“最低限”を確保できていない方が増えています。そしてそれが、腰痛、肩こり、首の痛み、さらには膝の痛みや股関節の違和感など、さまざまな不調を引き起こしているのです。
以下の3つの動作が、自分の体に必要な柔軟性があるかをチェックする簡単な指標です。どれか1つでもできない場合、体のどこかに硬さや動作の制限がある可能性が高く、痛みの原因になりうる状態です。
この動作は、ハムストリングス(ももの裏)と骨盤周囲の柔軟性をチェックするものです。床に手が届かないという方は、ハムストリングスが短縮して股関節の動きを妨げている可能性があり、その分腰部で代償動作が起こります。
このような方は、「前屈すると腰が痛い」「長時間立っていると腰がつらい」といった症状を訴えることが多いです。実際、腰の可動域が狭くなることで椎間関節や椎間板に負担が集中し、腰痛を誘発するリスクが高まります。
和式トイレのように、しゃがみ込む姿勢を取る「トイレ座り」ができるかどうかは、足首の背屈(つま先を上に向ける動き)の柔軟性を見極める上で重要です。
この動きができないと、階段の上り下りや、歩行時のつま先の接地でバランスを崩しやすくなります。また、足首が硬いと動作全体のクッション機能が失われ、膝・股関節・腰・肩など上位の関節がその衝撃を受けてしまい、全身の関節に二次的な負担が及びます。
たとえば、「足は痛くないのに膝が痛む」「腕を使うと肩や肘に痛みが出る」など、一見関連性のない部位に症状が出ている場合も、足首の機能低下が根本原因となっていることが多いのです。
首の前屈、つまり「首を前に倒して顎が胸につくかどうか」は、頸椎(首の骨)の柔軟性の指標です。
この動きが制限されている人は、上部頸椎や胸椎が硬くなっているケースが多く、結果的に下部頸椎が過剰に動きすぎてしまいます。これが、いわゆる**可動性亢進(動きすぎて不安定になる状態)**を引き起こし、首の痛みや肩こり、時には手のしびれや手の痛みなど神経の症状につながることもあります。
特にスマホやパソコンの使用時間が長い現代人にとって、この首の動きが制限されていることは非常に多く、慢性的な肩こりの根本原因となっているケースも珍しくありません。
私たちの体は、本来「全身が連動して動く設計」になっています。ある関節が硬くなれば、隣接する別の関節がその動きを補うように無理な動きを強いられます。これがいわゆる「代償動作」です。
たとえば、足首が硬ければしゃがむ動作で膝や股関節に過度な負担がかかり、ハムストリングスが硬ければ腰椎が過伸展(反りすぎ)してしまう。首の可動域が狭ければ肩や背中の筋肉が緊張して肩こりや頭痛を引き起こします。
つまり、柔軟性の低下は局所の痛みではなく、全身の機能不全の引き金となりうるのです。
「柔軟性を高める」といっても、ただストレッチをすればよいというわけではありません。
柔軟性を向上させるためには、以下の3点を意識しましょう。
今回ご紹介した3つの動作チェック(前屈、しゃがみ、首の前屈)は、ほんの入り口です。ですが、この3つができない状態で日常生活を続けていれば、遅かれ早かれ体のどこかに不調が現れます。
逆にいえば、これらがスムーズにできる状態をキープしていれば、日常の中で無意識に起きる関節への負担を減らすことができ、慢性痛の予防にもなります。
あなたの体は、柔らかさではなく“動きやすさ”で守られています。
最低限の柔軟性を保ち、痛みに悩まない体を目指しましょう。