2025年6月18日
~大谷翔平選手の手術から考える体の使い方~
こんにちは。
TOKYO腰痛肩こりケアセンターの仮屋です。
2023年、大谷翔平選手が2度目の肘の手術を受けたというニュースが話題になりました。
過去にも靭帯損傷により「トミー・ジョン手術」を受け、そこから復活した彼の姿に世界中のファンが胸を打たれたのは記憶に新しいかと思います。
そして再び手術、再びリハビリ、そしてつい先日投手として復帰を果たしました。復帰に向けて前進しているという姿には、単なるスーパースターではなく、「人間の可能性」の象徴としての重みを感じます。
今回はこの靭帯損傷、そしてリハビリ・復帰にまつわるお話を、関節の可動性と支持性という視点から紐解いてみたいと思います。
「靭帯は切れたら元に戻らない」
これは整形外科、リハビリの世界では基本的な事実です。
靭帯というのは、関節を安定させる“バンド”のようなもので、骨と骨を繋ぐ繊維性の組織です。
非常に丈夫ではあるのですが、ある一定以上の負荷がかかると断裂し、完全に修復することは困難です。
微細損傷、部分断裂、完全断裂と程度が分かれるそうですが、共通するのは「切れたまま」痛みはなくなる、治るというところ。
切れたものを直す場合には手術となるのですが、
などの方法が用いられます。
靭帯が損傷した時点で「何かが間違っていた」わけですが、それは決して本人の能力や努力の問題ではなく、全身のバランスや連動性の崩れが引き起こした結果なのです。
靭帯損傷は、以下のような条件下で発生します:
つまり、可動性(動く範囲)が過剰、あるいはそれを支える支持性(支える力)が不足しているときに、靭帯は過剰に引き延ばされ損傷します。
とくに多いのは**膝関節の靭帯損傷(ACL、MCLなど)ですが、今回の大谷選手のように肘関節の靭帯(内側側副靭帯=UCL)**も、投球動作などの反復によって損傷することがあります。
肘の靭帯損傷は「局所的な問題」として扱われがちですが、実は全身の連動性の問題として見るべきです。
とくに投球という動作は、
という順に**運動連鎖**が行われます。
この連鎖の中で、例えば、
といった制限があると、力の伝達が不十分になります。
結果として、その負担が「末端」である肘に集中し、靭帯に過度な負担がかかるのです。
実際、肘のトラブルを訴えるアスリートに下肢の可動性テストを行うと、弾力の消失や柔軟性の低下が見られることが多いのです。
可動性だけ高くても、支持性(支える筋力、協調性)がなければ不安定になります。
逆に支持性が強くても、柔軟性がなければ無理な動作になり、他の部位への負担となります。
この可動性と支持性のバランスを整えることが、靭帯損傷を防ぐ最大のポイントです。
関節ニュートラル整体では、
の両方を正確に評価し、調整を行います。
たとえば、股関節の内旋・外旋、胸椎の伸展制限、肩甲帯の可動域性低下などをチェックしながら、最終的に肘や肩にかかる負担を軽減していくのです。
スポーツ選手だけでなく、日常生活でも靭帯損傷は起こります。
階段を踏み外した、無理な姿勢で動いた、そんな瞬間に起こるのです。
まずは、姿勢や動作にクセがないか見直しましょう。
動作不良、姿勢不良は柔軟性や支持性の低下から起こります。
当センターでは、関節ニュートラル整体と自分で出来る腰痛肩こりケア体操を通して、
を目的に指導を行っています。
日々の習慣として数分取り組むだけでも、関節の弾力性が飛躍的に改善し、体の使い方そのものが変わってきます。
靭帯損傷のリスクが高い人の特徴には、
というケースがあります。
関節ニュートラル整体ではこれを「弾力の有無」としてとらえます。
弾力がある状態こそが“本来の関節の機能”です。
可動性・支持性のどちらが過不足しているかを見極めて、正しく整えることで再発も防げます。
大谷翔平選手のようなトップアスリートでさえ、靭帯を損傷し、手術を余儀なくされます。
しかしそれは「体が壊れやすい」ということではありません。
それだけの力を発揮しているからこそ、負担が一点に集中したともいえるのです。
私たち一般人であっても、同じことが言えます。
体のどこかに無理がかかっていないか、
全身のバランスが崩れていないか、
普段の動作をもう一度見直してみることが大切です。
靭帯を守ることは、「全身の関節と連動性を整えること」。
それが根本からの予防となります。
ぜひ、体の声に耳を傾け、早めの調整・ケアを心がけてください。