2025年7月22日
~ゴルフや日常動作における回旋パフォーマンスと痛みの関係~
関節ニュートラル整体 TOKYO腰痛肩こりケアセンター 仮屋崇
股関節の可動域や柔軟性と聞くと、前後や左右への開脚、屈伸のような動きを想像される方が多いかもしれません。しかし、もう一つ非常に重要な動きがあります。それが「内旋(ないせん)」と「外旋(がいせん)」です。
この動きは、日常動作だけでなく、スポーツ動作、特にゴルフや野球、テニスなどの「回旋」が多用される競技において、パフォーマンスの差や、ケガの有無に直結する非常に大切な関節の動きです。
今回はこの「内旋・外旋」に注目し、動作と痛みの関係、そして改善法についてご紹介します。
股関節の「内旋」は、太ももが身体の内側に向く動き、「外旋」は外側に向く動きです。具体的な例としては、
可動域の目安は一般的に、内旋・外旋ともに約45度とされています。ただし、個人差が大きく、先天的な骨の形状や関節の構造、筋肉や靭帯の柔軟性により得意・不得意が分かれます。
これは性差における骨盤形状の違いなども関与していますが、日常的な姿勢や使い方にも左右されるため、訓練やケアで改善できる部分もあります。
ゴルフのスイング動作を例にとってみましょう。バックスイング(テイクバック)時には、右利きの人であれば以下のように股関節が動きます。
逆に、フォロースルーの場面では、
という動きが求められます。
つまり、スイング動作の中で、両股関節が内旋・外旋を相互に使い分けながら連動して回旋動作を完成させているのです。どちらか一方、特に右股関節の内旋が硬い場合、テイクバックの可動域が不足し、肩や腰、膝などの他の関節にしわ寄せが生じます。
このようにして、本来なら股関節が担うべき「ねじれの吸収力」が失われ、代償動作が過剰になることで痛みやケガが起こるのです。
股関節がねじれない分、回旋の力がすべて腰椎(特にL4~L5、L5~S1)に集中してしまうと、椎間板や椎間関節に過剰なストレスがかかり、慢性的な腰痛や椎間板ヘルニア、分離症の原因となります。
股関節がうまく回旋しないと、膝関節がねじれを代償しようとします。膝は本来、回旋の自由度が非常に小さい構造のため、内側側副靱帯や半月板に負担がかかり、膝痛やスポーツ障害の引き金となります。
回旋動作において股関節が機能しないと、代償的に上半身(特に肩甲帯や頸椎)に負担が増します。例えばゴルフのスイングで、肩や肘を無理に引いて回すようになると、テニス肘や肩のインピンジメント、首の回旋可動域低下なども引き起こされます。
確かに、骨盤と大腿骨の接合部の形状(股関節の形)は先天的な影響が強く、可動域に限界がある人もいます。
しかし、日常動作や運動習慣により、「筋肉の柔軟性」「関節包の緊張」「滑走性の低下」によっても可動域が制限されているケースが多く、ある程度の改善は努力で可能です。
特に、関節の弾力(関節のたわみや遊び)を改善する施術や運動を継続することで、実用的な可動域は大きく変化します。
当院で指導している「自分でできる腰痛肩こりケア体操」でも、股関節の内旋・外旋の可動域を広げるメニューを紹介しています。以下は一例です。
このようなシンプルな体操でも、毎日継続することで股関節の柔軟性が回復し、痛みの予防とパフォーマンス向上に大きく貢献します。
痛みの原因は痛みのある場所にあるとは限りません。股関節のように「地味だけれど重要」な関節の動きに目を向けることで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
関節ニュートラル整体 TOKYO腰痛肩こりケアセンターでは、全身の関節の弾力や回旋可動域の検査・調整を行っております。
つらい腰痛・膝痛・スポーツ障害でお悩みの方は、ぜひご相談ください。