下肢の柔軟性低下が痛みを招く

2025年10月26日


― 腰痛・肩こり・首・膝・肩の痛みを防ぐために ―

こんにちは。TOKYO腰痛肩こりケアセンターの仮屋です。
今回は「下肢の柔軟性低下が痛みを招く」というテーマで、少し深く掘り下げてみたいと思います。

一見すると「足の柔軟性」と「肩こり」や「首の痛み」は無関係に思えるかもしれません。
しかし実際には、下半身の柔軟性が低下することで全身のバランスが崩れ、腰・背中・肩・首といった
上半身の関節にまで影響が及びます。

関節ニュートラル整体の現場では、痛みが出ている部分とはまったく違う場所に原因があるケースが
非常に多く見られます。その代表例が「下肢の柔軟性の低下」です。


■ 下肢の柔軟性が失われるとどうなるのか

下肢とは、股関節から足首までの範囲を指します。
この領域の筋肉・関節は、歩行・階段昇降・立ち座りなど、あらゆる動作の基盤です。
ここが固くなると、体は動作のたびにどこか別の関節で代償(無理な動き)をしてバランスを取ろうとします。

たとえば、

このように「連鎖」が起こり、結果的に姿勢不良・動作不良を生み出します。
姿勢や動作が崩れるということは、特定の関節や筋肉に偏った負荷がかかるということです。
その積み重ねが「痛み」や「こり」として現れるのです。


■ よく見られる下肢の柔軟性低下の部位と症状の関係

① 足首の背屈制限(アキレス腱・下腿三頭筋)

よく見られるのがこのパターンです。
足首を十分に曲げられない(背屈できない)と、しゃがむ動作や歩行動作で膝が前に出ません。
そのため腰が必要以上に前に傾き、腰椎や仙腸関節に過剰な負担がかかります。

また、背屈制限は全身の重心を後方に押し上げるため、
結果的に肩こりや首の痛み、猫背姿勢を誘発します。
足首の動きが悪いだけで、実は上半身まで連鎖的に影響が出ているのです。


② ハムストリングス(もも裏)の硬さ

前屈ができない、床に手が届かない、という人のほとんどはハムストリングスが固くなっています。
この筋群は骨盤から膝の下までつながる大きな筋肉で、骨盤の位置を直接コントロールしています。

ハムストリングスが固いと骨盤が後傾し、腰椎の自然なカーブ(前弯)が失われてしまいます。
その結果、腰椎椎間関節に圧力が集中しやすく、
慢性的な腰痛や、背中・肩甲骨周囲の張り、首の痛みまで波及することがあります。

関節ニュートラル整体では、ハムストリングスを単に伸ばすだけでなく、
骨盤と股関節の「遊び(弾力)」を回復させることで、
本来の滑らかな動作を取り戻すことを重視しています。


③ 股関節伸展制限(大腰筋・腸骨筋)

現代人に非常に多いのが「股関節を後ろに伸ばせない」タイプです。
長時間のデスクワークや座り姿勢で、大腰筋が常に短縮して固まっているため、
立位でも股関節が伸びきらず、腰椎を反らせてバランスを取る癖がついています。

これが慢性的な腰痛、あるいは「反り腰」と呼ばれる姿勢の原因になります。
また、歩行時の一歩一歩で骨盤がスムーズに動かず、
腰椎・仙腸関節・胸椎といった部位が過剰に動かされてしまうこともあります。

「腰が痛い」と訴える人の多くに、この股関節伸展制限が隠れているのです。


④ 股関節内転制限(中殿筋・大腿筋膜張筋など)

内転が制限されると、骨盤が片方に傾きやすくなります。
立位での体重のかけ方が左右で偏り、
片側の膝・腰・肩・首などに負荷がかかり続けます。

特に中殿筋の弾力が失われると、骨盤を支える力が弱くなり、
歩行のたびに身体が左右に揺れるような「崩れた歩き方」になります。
これが慢性的な腰痛や股関節痛、膝痛の原因となるケースも少なくありません。


■ 柔軟性の低下が「姿勢不良」や「動作不良」を招くメカニズム

人間の体は約200個の関節で成り立ち、
それぞれがわずかな「あそび(joint play)」=弾力を持っています。
この弾力があることで、関節は衝撃を吸収し、滑らかに動くことができます。

しかし、ある部位の弾力が失われると、
他の部位がその分を代わりに動かそうとして無理をします。

たとえば、

このように「代償動作」が積み重なると、
本来負担がかからない関節や筋肉に微小なストレスがかかり続け、
やがて炎症や痛みへと発展していきます。

「どこが痛いか」ではなく、「なぜそこに負担が集中したのか」を考えること。
それが関節ニュートラル整体の根本的な考え方です。


■ 下肢の柔軟性チェック

次のような動作を試してみてください。

これらがすべて無理なくできる人は、柔軟性・弾力のバランスが整っています。
逆に、どれか一つでも極端にできない場合、
その動きに関わる筋肉や関節のどこかに制限がある可能性があります。


■ 柔軟性を回復させるには

ただストレッチを「伸ばす」だけでは柔軟性は戻りません。
筋肉は自ら伸びる組織ではなく、脳からの指令によって緊張と弛緩を繰り返す構造です。

そのため、

といった神経生理学的な方法を使うと、
より効率的に可動域を回復させることができます。

例えばハムストリングスを伸ばす場合、
単に前屈するよりも「力を入れて(5秒)」→「脱力して(10秒)」→「さらに前屈」
という流れを数回繰り返すことで、筋肉の防御反射が抑えられ、柔軟性が高まりやすくなります。

これらは「腰痛肩こりケア体操」としても当センターで指導しており、
ご自宅でも簡単に行えるセルフケアとして好評です。


■ 未来の痛みを未然に防ぐという考え方

痛みが出てから治すよりも、
「痛みが出ない体をつくる」方がはるかに効率的です。

関節の痛みは一朝一夕に起きるものではなく、
長年の小さな蓄積が限界を超えたときに表面化します。

その意味で、下肢の柔軟性を保つことは「投資」です。
今のうちに足首・ハムストリングス・股関節の可動性を取り戻しておけば、
将来の腰痛・肩こり・膝痛・股関節痛を防ぐことができます。


■ まとめ

下肢の柔軟性低下は、全身の関節痛の“入り口”です。
足首・ハムストリングス・股関節――
この3つの部位がスムーズに動くことで、姿勢も動作も安定し、
全身の関節がバランスよく機能します。

関節ニュートラル整体では、
このような「全身連動性」に着目して、
下肢から全身の弾力を回復させるアプローチを行っています。

ぜひ一度、自分の柔軟性をチェックしてみてください。
もし動きに偏りや固さを感じたら、それが「未来の痛みのサイン」です。

その小さな変化を見逃さず、早めにケアを始めること。
それが“痛みのない体”をつくるための、いちばん確実で効率的な方法です。

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